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知ろう!学ぼう!

アフリカ象の涙

今この地球では、15分に1頭アフリカゾウが殺されています。2012年だけで38000頭のアフリカゾウが密猟の犠牲になりました。
このままでは、あと10年から15年の間にアフリカゾウはこの地球から絶滅すると言われています。
今回は、現地ケニアの最前線で働く獣医師の瀧田さんと山脇さんに、今アフリカそして世界で何が起きているのか、そしてそれに対し私達は何ができるのかお話しを聞いてきました。

アフリカ象の涙

瀧田明日香さんのお話し

私は、東アフリカのケニアにあるマライラマ国立保護区内の管理施設「マラコンサーバンシー」で獣医として犬を使い密猟者を捕り締まる仕事をしています。
密猟には2つの種類があり、一つはブッシュミートトレードと言われる希少価値の高い野生動物の干し肉を売るための密猟と、もう一つは、象牙や犀角(さいかく=サイの角)など高額商品になる動物の密猟です。
アフリカには2種類のゾウがいます。フォレストエレファントと呼ばれるマルミミゾウは、中央アフリカの森の奥に住んでいます。牙がまっすぐで茶色がかった色をしているのがマルミミゾウで、サバンナ象と比べると象牙がとても固いです。私が働いている管理施設の生息地ではサバンナ象がいます。
ゾウは枯れた木を倒し、新しい木を生やすサバンナの植木屋です。またゾウは食べた物を50%しか消化できないため、フンの中には森の植物の種が豊富にあり、ゾウの移動とともに種が運ばれ森を広げる役目をします。ゾウと植物は長い間共生してきたので、アカシアの木の何種類かはゾウの体内を通らないと発芽しないものもあります。ゾウはサバンナにとって大切な役割を担っている生き物です。

現在47万頭から60万頭のゾウがアフリカ大陸にいると言われています。ですが70年代のゾウの個体調査を最後に、その後アフリカ全土をカバーする調査は行われていません。
今年の2月に18機の飛行機を使い、研究者達がアフリカ全土を上空と陸路から個体のチェックを始めましたが、数が増えていることはありえないでしょう。
まずゾウの減少の原因は、生息地の縮小です。生息地が減ることにより、今まで自由に移動してきたゾウが移動できなくなり、その結果住民との衝突が起きます。例えば7トンものゾウが20頭のグループになり、村に下りて畑に入り穀物を潰すと住民の一年間の収入源は一晩で失うことになります。住民がゾウを追い出そうとした時に人や家畜が殺されてしまう場合もあります。
またゾウはとても頭の良い動物なので、村人達が保護区の近くに来ると、何年か前のイヤなことをされたことを思い出し、村人の家畜を殺すケースもあります。

私たちは、ゾウが殺された現場に追跡犬ユニットとして探知犬を使い一番初めに入ります。
探知犬は密猟者の足跡を追いかけます。
密猟の対象となっている彼らの牙は、人間の永久歯同様抜け落ちたり生え変わることはありません。売られている象牙は自然に抜け落ちたものと誤解されがちですが、事故で折れたりしない限りは、伸び続け生え変わることはありません。そして歯の一部である象牙は簡単に取れるものではなく、牙の30%から40%は顔の中に埋もれているため、ゾウを殺して頭蓋骨を割らないと取ることは不可能です。
真っ白で綺麗に加工された象牙は、実はどのような凄惨な状況で取られたのか想像すらできないでしょう。

その密猟ですが、方法は自動小銃や毒矢などが使われます。銃は、保護区近辺では音でレンジャーに分かってしまうため使用せず、代わりにその場合は毒矢を使います。
他にも、丸太に毒が塗られた鉄の棒が刺さっているフットトラップというものをゾウの通り道に置く方法や、
ゾウが大好きなカボチャやスイカに毒を入れることもあります。
キャベツをくり抜き、中に強力な殺虫剤を詰め込みフタをして通り道に置きます。
また2013年にはジンバブエのワンゲ国立公園で、水場に青酸カリを投与し一度に100頭近くのゾウが
殺されたこともあります。

子孫を残せないオス

野生のゾウは、メスの群れとオスの群れで違う行動をします。メスの群れは、血のつながったメス達が一生一緒に暮らすファミリーグループです。オスは18歳くらいに成長すると、メスの群れから離れ、そこから若いオスだけの群れになります。そしてオスは20代後半から30代になると1頭ごと移動を始めます。

個体移動するオスのゾウは、密猟者が一番初めに狙います。年をとったオスは、体が大きいため象牙も太くて重く価値があり一番の密猟の対象になります。ゾウは35歳~40歳にならないと繁殖に適さず、メスはより体の大きいオスを選びます。20歳のオスは、40歳~50歳のオスのサイズの約半分なのでメスにとっては魅力的ではありません。ホルモンも40歳の方が繁殖期が長く繁殖率の期間が延びます。
研究者によると、現在のゾウの平均寿命は19歳程度と繁殖できる年齢に達するまえに殺されています。これによりメスの群れも大人のオスにめぐり合う可能性が低くなります。

生きる知恵を失うメス

メスの群れは、年取ったリーダーの知恵が生き抜く支えになります。乾季に保護区内に水がなくなってしまった場合、保護区外の水場にたどり着くまでどのような困難なことがあるか、道路や畑、そしてゾウをよく思っていないコミュニティのことを長年の経験で彼女達は知っています。リーダーであるおばあさんゾウは、生存するために毎日の生活の中から必要な知識をたくさん持っています。
ゾウは15歳や16歳で子どもを産みますが、経験が浅いので子育てのやり方もおばあさんゾウやお母さんゾウの知恵に頼ります。ですが、大きなオスの次に狙われるのが一番年をとった体の大きいメスです。そうすると今まで群れを導いていたおばあさんゾウがいなくなり、そしてまた次の世代のメスまで殺されると、人間ならまるで人生経験のない10代の子が、小さな子どもを何人も連れて生きていかなければならない状況が起きます。若いゾウはどうして良いか分からず、群れ全体の生存率が下がり生きていくことはゼロに等しくなります。

中国は現在象牙の消費が最も多い国です。ですが70年代~80年代は、全世界の象牙の消費量の2/3が日本でした。
銃一つ持っていれば簡単に手に入る象牙は、紛争地帯や反政府軍、テロリストへの軍資金となり取引きされています。アフリカの内戦テロの問題だけでなくこれは国際的な問題です。ようやく国連でも取り上げられるようになり、今後国連のトップがケニアに来て密猟やその軍資金についての会議が開かれます。
アフリカゾウがいなくなることは単に可哀相だけの問題ではありません。ゾウがいなくなることは森が再生できず、ぞして森がなくなると雨もなくなります。これまで家畜の放牧地に使われていた土地が砂漠化するといった悪循環へとつながります。
象牙というのは生きた象が持つことに本当の価値があります。
生きた動物に対する価値観を全世界で高めて欲しいと思います。

山脇愛理さんのお話し

この問題は「ゾウを守る」だけに限らず、色々な国際問題が要素として絡んでいます。
全体像を把握して考えないとゾウを守ることはできません。そのため知るということが重要になってきます。

海外では象牙問題は多く報道され、情報は流通していますが、日本の情報社会には見えないフィルターがかかっており、メディア業界の特殊な都合のため、ありのままに情報が流せないことがよくあります。例えば、民放テレビの場合スポンサーが関わってきます。番組側はスポンサーの顔色をもちろん気にしますし、放送後の視聴者からのクレームなども懸念され、そのため、今の国際象牙問題に日本も関わっているという情報はなかなか取り扱ってもらえません。

象牙問題を取り扱う滝田の活動も、都合の良いところだけを取り上げてしまうという問題が今までにありました。象牙問題は美しくも面白おかしくもなく、現状は厳しいものばかりです。都合の良い内容ばかり取り扱われると、危機感がなくなり、ありのままの生々しい現状がなかなかお茶の間までたどり着かないのが今の日本の情報社会だと思います。

特にテレビで取り上げてもらうということはハードルが高く、こちらから持ち込んで番組化してもらうのも、非常に時間がかかるプロセスです。
提案から何度も会議を重ねて内容を話し合い、同時にリサーチで現状を調べ上げ、準備・撮影・編集・内容の確認、そしてようやく放送。あまり知られていませんが、番組が1から作られるというのは非常に時間がかかることです。NHKのドキュメンタリーウェーブも1年かかりました。そしてその番組がきっかけとなり、NHKのクローズアップ現代でも取り上げていただけました。各局多数の番組に提案し、取り上げて頂けたのはNHKだけでした。
NHK ドキュメンタリー WAVE (BS1) 「追跡アフリカゾウ密猟最前線」  >>視聴

他にも新聞や雑誌にも取り上げていただきました。
今後もfacebookで生のメッセージを発信し続け、それだけではなく、日本の子供達に直接語りかけて行くような活動も増やしていきたいと思います。
日本人は生活水準が高いので、これは「良い物」と言われると、その「物」の背景を知らずに何気なく買ってしまうことがあります。それが消費につながっています。
長年に渡って象牙消費者である私たち日本人が、今の国際社会においての象牙問題を知り、需要をなくすことを考え、そしてこの現実を更に広めて行くのが消費者の責任ではないでしょうか。

プロフィール

ASIANS AGAINST IVORY

「アフリカゾウの涙」TEARS OF THE AFRICAN ELEPHANT

昨年38000頭のアフリカゾウが密猟の犠牲になりました。ハンコや装飾品など日本を含むアジアの象牙需要を満たすためです。
象牙の国際取引はワシントン条約によって禁じられているにも関わらず、象牙需要が減らない世の中では密猟と違法取引がアフリカゾウの存在を脅かしています。このままでは、あと10年で地球からアフリカゾウが消えてしまいます。
日本人としてアフリカゾウの絶滅に貢献するのではなく、未来の地球に、私たちの子供たちに、野生のゾウを残せるように、私たちと一緒にゾウの保護活動にご賛同ください。

アフリカゾウの涙

※アフリカゾウの涙のキャンペーンカードを置いて頂けるお店やカフェ、獣医クリニック、イベントなどを探しています。
詳しくはこちらから  >>HELP! お手伝い探しています!

アフリカゾウの涙 - Facebook

tearsofelephants

瀧田明日香さん

瀧田明日香さん

ケニアのマサイマラ国立保護区内の管理施設「マラコンサーバンシー」に
勤務する日本人獣医。
現地での密猟対策の追跡犬・象牙探知犬ユニット結成以外にも、
山脇愛理さんとゾウ保護
NGO「アフリカゾウの涙」を日本で立ち上げ象牙需要ゼロ運動に力を入れています。

山脇愛理さん

山脇愛理さん

20年以上南アフリカで暮らしている山脇さんはメディアコーディネーター。
アフリカの大自然と関わる一方、ゾウの密猟が悪化している原因が、日本を含むアジアにもある中で なんとかアフリカゾウの絶滅を阻止したいという一心で活動しています。

写真協力 山形豪さん

1974年群馬県高崎市生まれ。
少年時代を中米のグアテマラや西アフリカのブルキナファソ、トーゴといった 国々で過ごす。
高校を卒業後、東アフリカのタンザニアへ渡り、現地の インターナショナルスクールで学ぶかたわら自然写真を撮り始める。
そしてイギリス、イーストアングリア大学大学を卒業し帰国。フリーの写真家として活動を始める。
2000年以降頻繁に南部アフリカを訪れ野生動物や風景、人の写真を 撮り続けながら、写真サファリのガイドとしても活動中。
ニコンカレッジの講師も務める。日本自然科学写真協会(SSP)会員

オフィシャルサイト「Go Yamagata.com」