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TSUNAGUプロジェクト - 人をつなぐ、命をツナグ -

ペットショップの可愛い動物たちの背景には

飯島実佐さん / bullio(ブリオ)

ブリーダー崩壊、多頭飼い崩壊、パピーミル(繁殖施設)崩壊…。このような言葉を耳にしたことはありますか?
今回は昨年12月、千葉で起きたパピーミル崩壊現場に赴きそこで1匹の犬と出会った方のお話しを聞きました。

2012年12月 ブリーダー崩壊
  • パピーミル(繁殖施設)崩壊
  • パピーミル(繁殖施設)崩壊
  • パピーミル(繁殖施設)崩壊
  • パピーミル(繁殖施設)崩壊

前日の深夜、ふと開いたfacebookで、私は千葉県のブリーダー崩壊を知る。
200匹以上の犬が、殺処分まで残りわずかだと。
しかも現場の鍵は空いたまま、無料なのでどなたでも持って行って下さいとの話しだ。
大抵このような場合、愛護団体やボランティアさんが一時預りをしたあと、里親募集という流れになるはず。しかも200匹以上の数とあってこれまで聞いたことのない話に胸騒ぎがした。
翌朝家族にfacebookを見せその話しをした。そして我が家にある一番大きなソフトゲージを積み、私と家族は車に乗り込んだ。

現場だと思われる場所は、人だかりが出来ていたのですぐに分かった。
ブリーダーの犬舎と思われる2階建て住宅の庭先には、ゲージに入った中型犬や大型犬がいた。どの子もみな身体は汚れ、全身が毛玉状態で異臭を放っていた。

中に入るとどの部屋にも、積み上げられたゲージの中に何頭もの犬が押し込められ、私と家族はその異様な光景に言葉を失った。
部屋の障子や襖は破れ、足の踏み場もないくらいゴミで溢れていた。汚物はもちろんゴミ袋は所狭しと山積みだ。

異臭で息が出来ない…。

目を開けていると臭気のせいか、とにかく刺されるように目がしみる。みな入口を一歩入った途端、吐き気に襲われ外へ出る。私たちも異臭と目の前の現実から目を背け、その場から離れたかったが何よりその場所に置かれている犬たちから離れる事ができなかった。

庭先で次々と犬を運び出していたボランティアさんに、「現場はここだけではなくもう1ヶ所ある、この子達は大丈夫ですからそちらの方に行かれて下さい。」と言われ、住所をメモしそこから車で20分から30分の場所に向かった。

普通の民家のその現場も大勢の人で溢れ、ボランティアさんと思われる方々の姿があった。そこは繁殖用の犬たちが置かれているようで、比較的若い犬ばかり。

その場所は最初にみた2階建ての家よりもひどい。むごすぎる…。

中は蜘蛛の巣の館で、昼間でも薄暗く屋根はあるが屋外と同然だった。
吹き付ける冬の風は冷たく、夏はさぞかし暑くて蒸し風呂状態だっただろう。
やはり積み上げられたゲージの中には、何頭もの犬たちが怯えた顔をしてこちらを見ていた。
狭い檻のような箱に並んで入っている犬たちは、おそらく外に出たことがなく、後ろ足は曲がっていたり、歩いたことがないから歩けない。
声帯を取られているのか鳴き声も発しない。もちろん中には妊娠している犬もいた。

ふと見ると、ボーターコリーやシェルティー、中型犬ばかりが押し込まれている場所に、大きなゲージに入った小型犬を見つけた。チワワだ。
中に入る前、小型犬はみな貰われここには残っていないと耳にしていたので、なぜここにチワワだけが残っているのだろう…、不思議に思ったその時、そのチワワは私に振り向いた。
そのチワワは、左の眼からたくさんの膿が流れていた。

続々と犬を求め入って来る人たちは、やはり最初にチワワを見る。だか膿が流れ出している顔を見た途端にそのチワワのゲージから目を逸らし、そして二度とチワワに振り向かず立ち去る。そんなものだ。

私は少し離れた場所にいた家族を大声で呼んだ。家族はチワワの顔を見て、そして涙でぐしゃぐしゃな私の顔を見てうなずいてくれた。
「早く病院に連れて行ってあげよう。そしてこの子を家に連れて帰ろう。」そう言ってくれた。

私は家族と、早急な治療が必要なそのチワワと家路に急いだ。

命の現実を知る

このブリーダーは、このような劣悪な衛生管理の中で、ワクチン接種もフィラリア予防もせず10年以上このような状態で子供を産ませ続けていたそうです。
すべてのブリーダーを非難するわけではありません。ブリーダーの中には正しい知識を持った素晴らしいブリーダーもいます。
しかし、ペットショップやネットで売られている、愛くるしい動物たちの多くは、金儲けの道具となっている悲惨な動物たちから産まれていることは少なくありません。
ペットショップで偶然にも、我が子のように愛情を注いでくれる飼い主に出会えたら、その動物は本当に幸せな一生を送ることができますが、反対にペットショップで売れ残ってしまった仔は、再び悪徳ブリーダーに引き取られ繁殖用としてゲージの中で一生を過ごすという話しもあります。
ラッキーだったから…?運が悪かったから…?それが理由でこのようなことが起きていいのでしょうか。
私たち人間の欲と身勝手さが生む、この負の構図をたちきらなければ、いつまでもこのまま変わりません。

もちろん負の構図を根本から変えていくためには、動物取り扱い業の登録取り消しの制度の強化や、動物虐待を取り締まる警察によるアニマルポリスの導入、動物愛護推進員の活動の強化と施策を着実に実施するための財政面での支援など、多くの法整備を行政に働きかけることが必須です。
しかし、何より一般の動物好きな私たちが真実を直視し、知らない人に伝え広めることが大事なのではないでしょうか。

飼う前に考えて

飼う前に考えて(環境省自然環境局 動物愛護管理室資料)飼う前に考えて
(環境省自然環境局 動物愛護管理室資料)

  • 動物はぬいぐるみじゃありません。ただ「可愛いから」で飼わないでください。
  • その可愛いペットはご飯も食べるしうんちもします。時にはトイレを失敗することもあります。
  • 吠える時もあるし病気にもなります。
  • なにより自分より先に年をとり、介護が必要な場合もあります。
  • どうかどんな状況になっても最期まで責任を持てる人だけ動物と暮らしてください。
ペットショップで買わないで

買う人がいなくなれば、悪徳ブリーダーを排除していくことができます。
安くて可愛い子犬・子猫が売れれば売れるほど、悪徳ブリーダーは儲かります。
儲かる限り悪徳ブリーダーもパピーミルも、そこで何度も出産させられるお母さん犬やお母さん猫たちもいなくなりません。

  1. 消費者が買う
  2. だから産ませる
  3. だから余る
  4. だから処分する

この構図を断ち切ることが重要です。

動物と巡り会えるのはペットショップだけではありません。里親募集から譲り受けるのも大きな選択肢です。
もちろん○○という犬種が好き、○○という種類の犬や猫と暮らしたい!そう思う気持ちも間違いではありません。そういう時は、心底その種に惚れ込んで大切に育てているブリーダーのところへ家族みんなで行き、その種の良い点悪い点の説明を受け、その仔の両親などを見せてもらいましょう。
そして大切に生んで育ててくれたお母さん犬や猫さんから家族としてもらうという気持ちで最期まで大切に育てましょう。

プロフィール

栃木県宇都宮市 飯島実佐さん

栃木県宇都宮市 飯島実佐さん [ 記事・画像提供 ]

ボランティアさん達はみな、このチワワは最後まで残ってしまうだろうと思っていました。みな口々に「良かった、この子を選んでくれてありがとう」とおっしゃてくれました。
ありがとうは私のほう。ひとつの尊い命のあたたかさを抱き締める事が出来たのだから。