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TSUNAGUプロジェクト - 人をつなぐ、命をツナグ -

「大きな力、大きな声」で日本の動物福祉改革を

一般財団法人 動物環境・福祉協会 Eva(エヴァ)杉本彩さん

2014年3月に、「一般財団法人 動物環境・福祉協会Eva(エヴァ)」を設立した女優の杉本彩さんに、日本の動物愛護や動物福祉、そしてご自身の愛護団体設立の経緯や目的などをお伺いしてきました。

多くの犬猫が処分されているのはなぜか。その背景までは触れられていない現実。
今日本の動物が置かれている現状について彩さんはどのようにお思いでしょうか。

一番問題なのはペットの生体販売と、その背景にある繁殖場の問題です。
このことを一人でも多くのみなさまに知って欲しいと思うのですが、現状を伝えるのはとても難しいことです。大手の参入により生体販売業がテレビのスポンサーになっているつながりもあります。現状大多数の犬猫が殺処分されていますという問題は、かなり触れてもらえるようになってきましたが、ではどうしてそのようなことが起きるのか、という背景までは踏み込んで報じられないのが現状ですよね。

昔は特に、動物と暮らす→ペットショップという方法が当然でしたよね。
私たちは生まれた時から当たり前のように生体販売があったので、なかなかそこに疑問を持つきっかけがないのです。
ただそれを見ていて、何となく気分が悪いとか、こんな小さい時から可哀相と感じることはあっても、その背景が悪質なものとして想像をめぐらすまでは至らないんです。
「命がモノとして扱われない」社会へ。そして動物主体の愛護法の実現を。
そんな中、日本の動物福祉は今後どうなっていけばよいでしょうか。

「命がモノとして扱われない」ということが一番大切です。
動物愛護法があっても結局器物扱いされているということにすごく矛盾があります。愛護法を用いるのか、それとも人間の都合で動物が器物として扱われることが主なのか、どちらを重んじていくのかとても中途半端で矛盾だらけの現状が今の社会にあると感じます。
最低限、命あるものとして愛護法が重んじられるようになってくれば、必然的に生体販売においても、例えば一匹に対し最低限こういう環境を整えるといった規制があればもっと厳しく変わるはずです。
ですが今の段階では、商品として売られている犬や猫、ウサギなど色々な動物はひとつの商売としか見なされず守られていません。
それとやはり流通の過程で、行政が把握できていない数の命が失われていることが、ものすごい問題だと感じます。

愛護法の改正といっても歩みがとても遅く猶予があるといった感じがしますね。
結局その猶予は、動物を守る法律じゃなく、業者側の都合に配慮した人間の都合のものなんですよね。
本当にこれが動物愛護法なのかと感じることが多々あります。
そこで彩さんが活動しているアニマルポリスの設置が日本でも実現されればそこが一つの抑止力になりますよね。

ええ、なると思います。動物愛護法を知らず、何の罪の意識もなくただ都合が悪くなったから安易に犬猫を遺棄する方にむけて、あなたのやろうとしていることは犯罪です、ともっと一般の人たちにまで浸透させ、実際に機能させていくことがすごく重要だと思います。
安易に捨てたり持ち込もうとする理由は、やはり社会が動物を器物として扱っているからですよね。そういう様子は街のいたるところを見て感じます。店舗では「ペットの持ち込み禁止」交通機関では「手荷物」。大切なお客様が、家族同然に一緒に暮らしている犬や猫に対し、その言い方はとても不自然ですし、日本の遅れている意識がかいま見れます。

ペットショップのウィンドーに「お正月はぜひ可愛いペットと一緒に!」と張られたポスターにもとまどいを感じました。
そうですね。ペット大安売りのチラシもそうですよね。「セール」と張られるのが本当に違和感なんです。
多分そこにあまり疑問をお持ちでない方がたくさんいらっしゃるのだと感じます。すごく大きなビジネスになってきているし、健全な雰囲気ですし演出も上手、そういうところでだまされてしまう消費者って増えていると思います。実際店頭で動物が売られている光景を見ると、日本が先進国なんだろうかと恥ずかしくて何だかすごく未熟な国だなと思います。
協会Evaの設立と今後の方向性
協会Evaの設立と今後協会が目指すことはどのようなことでしょうか。

まず私が今まで思い続けて行ってきたことは、啓蒙啓発活動でした。
自分の今の立場を生かし、今まで動物愛護に興味のなかった方、そのようなことに耳を傾けなかった方たちが、私が発信することでより多くの層にこの現実を知ってもらえたらいいなという思いでやってきました。
ですが長年やり続けて感じてきたことは、啓蒙啓発だけでは限界があること、そこから色々な法改正やアニマルポリスの設置など、それらを同時に訴えて、その部分を変えていかないと限界があることにたどりつきました。
そしてまた感じたのは、国民の声が大きくならないと何も変わらない。
ビジネスとして成り立っている抵抗勢力の大きさが拡大し、勢力が増幅しているので、それよりもはるかに「大きな力、大きな声」を持って挑んでいかなければ、やはりなかなか中途半端にしか改革されていかず、そこで感じたのは個人の力の限界だったんです。
たかが一芸能人が、いくら声をあげて色々な議員さんや知事の方に会ったとしても、ひとつのきっかけにはなるかもしれませんが、なかなか自分が理想とするような形にはスムーズに変わっていかないことを感じます。

アニマルポリスの設置を訴えた活動の時は、72,000通以上の署名が集まりました。「あぁ、こうして一人ひとりの声を集結 させて、大きな力にしていくことが必要なんだ」ということを強く実感したのがその署名運動の時でした。数年前から組織化することを人に進められ、その思いは頭の中にはありましたが、自分の仕事と平行して活動することがどれだけ大変なことか分かっていましたので。でも何年か経ち、良い仲間やサポートしてくれる方々にもめぐり会え、もしかしたらみなさんのお力を借りて活動することができるかなと思いはじめたのが一年前です。

署名活動の時のように、みなさんとこんなネットワークが作れたらと、署名の数を目の当りにして実感しました。
それと団体さんや個人の活動家の方々と実際コミュニケーションとっていくと、収容施設の不足をとても感じました。一団体で収容できる数は決まっていますので、それを超えると逆に虐待のようになり兼ねない、ここがとても難しいところで、しっかり整った環境で十分な運動をさせてあげられてといった状態でないと、果たして保護していることが良いのかと疑問が生じ、不信感につながります。ですので活動家さんたちの相談を受けた時に、ではうちの保護施設で引き受けますといった、一層深い踏み込んだお手伝いをする思いが強くなってきました。ですので保護施設の建設は、同時に進めたいと思っています。 各地で色々な方にお任せして支部を作り、全国に保護施設を広めていけたらかなり大きな貢献ができるのではないかと 思います。
日本には団体さんが数多くありますが、そこが横のつながりをもっと持つことにより大きな力になるのでは。
そうなんです。活動してる自負がものすごくあるので、それぞれ主義主張の違いから手を取り合えなくなるパターンはよく聞きます。力が集結されず分散してしまう現象はとても問題だし、その理由は、ひとつ基準となる思想のようなものがなく、どこか一つに束ねる組織がないってことですよね。それも問題だと思います。ですから保護する活動家は、絶対認められたいとか思ってはいけないんですよね。鉄則です。
常に謙虚で学び続ける姿勢を大切に
これまでの活動の中で感じたこと苦労されたこと、そして逆に嬉しかったことなどを教えてください。

最初は地域猫活動だったので、そこで個人でお金を捻出していくのは大変でした。それと餌やりの時は、やはり地域の方からよく思われず不愉快な話しを耳にしたり、これは私に限らずですが現場の方々はみな嫌な思いをされてきたと思います。
ですが、地域猫活動に必要なお金を捻出するためにみんなでガレージセール行っていたら、次第にその地域の方々が理解を示してくれるようになり、セールの規模がどんどん大きくなっていきました。
そのうち世田谷区の施設を借りて開催するほどにまでなり、そうなると品物の搬入も大変で、トラックをお持ちのご近所の方がトラックを出して搬入を手伝ってくれたり、またこの品物いらなくなったから今度のセールに売ってと品物を寄付してくださったりとか、自然と地域の方々を巻き込んでみなさんがお手伝いしてくださったことが、当時20代の頃でしたけどそれはとても嬉しかったです。

あと嬉しかったことは、私のブログやメディアでの発信によって事実を初めて知った方が、保護施設から犬や猫を迎えましたというご報告をして下さった時です。地道な啓発活動が少しでも役に立ち、新たな飼い主さんのもとへ迎えられた子がいることを実感できた時ですね。
そしてこの活動を一生懸命に応援してくれる方々の純粋な思いに触れた時、経済活動の仕事ではけして得ることのできない感動や充実感は、かけがえのないものだと思います。
感じたことは、寄付を受け取る団体側の未熟さもあると思いますが、寄付する側の未熟さも当時感じました。感情だけで寄付をして、あとから返してくれとかそういう問題もありましたし、それと動物のために使って欲しいのであって、人のためには使わないでなどもありました。動物たちのお世話をするのは結局人で、それを含めての運営費ですから、だからそういうことにならないようにしっかり発信していくこと、そして寄付していただく方もまずきちんと調べて慎重になっていただけたらと思いました。
苦労という点では数年前の大きな動物虐待事件の時でしょうか。それをきっかけにさらに動物愛護活動にのめり込み日本社会の問題点を知るきっかけにもなりました。
確かその時、誹謗中傷の対象になってしまった時期がありますよね。
当時は注意を促すようなメールや電話がたくさん来て、もちろんそれは一つの意見として受け止めはしますけど、実際自分の目で見て自分で感じて「これなんだ」と実感がない限り、安易にお顔も名前もわからない方の意見を鵜呑みにして判断するのはよくないことだと思っています。それが動物愛護の発展を妨げることになる場合があるからです。けれど、そんな問題に巻き込まれたら、自分の動物愛護活動の足かせになってしまうのだということも教えられました。だからやはり色々な方と関わっていくことはすごく慎重じゃなければいけないんですよね。
やっぱり当時は、まだまだ自分もそのような危険予測能力や、問題への対応が未熟だったんだと思います。ブログのコメントで「あなたの発信によってもし問題が起こったら芸能界を辞めろ」とまで書かれました。私の発言で何らかの問題が生じたのであれば、私は芸能界を辞める覚悟くらいはあるし、たかが一芸能人の引退によって動物愛護が発展するなら喜んで辞めさせていただきますと書きました。
人生かけて取り組んでいるので…ある意味こちらも命がけです。結構きつい思いをしたので、とにかくよく動物愛護活動を途中で辞めなかったなと、今振り返って思います。
当時は本当に心折れそうになることの連続でした。
いろいろ発言したいことはたくさんありましたが、それ以上発言してもムダな争いに巻き込まれるだけで、動物愛護の発展には繋がらないし、それどころか他の人や自分の活動の妨げになるリスクがあると感じたので、黙ることが賢明だと思いました。事実がどうであれ、主義主張がどれほど違えど、活動家同士の誹謗からは何も生まれません。本当に戦うべき相手を見失ってはいけないんです。
今となっては過去の出来事の記憶より、逆に現在のご活動の方が印象的で興味深く見守っている方が多いのではないでしょうか。

自分の役割みたいなものがしっかり出来てきたんですね。それは啓蒙啓発活動で、色々なところに講演やイベントに行かせていただいたりすることによって、今まで動物愛護について知らなかった方がイベントに参加してくださるようになりました。
自分の中に色々なことに振り回されない軸ができました。それにより自分の活動もスムーズに進められるようになりましたし、あとは悩みの種が入らなくなった(笑)というところで今はとてもほっとしています。
あとはやはり今後の活動の中で、これからも自分自身が学び続けていく姿勢がなければ絶対にいけないと思います。
自分が今認識してることが全てではない。まだまだ自分が成長し成熟して学んでいかなければならないところがたくさんあるのだと、常に謙虚な気持ちでいることを自分自身に言い聞かせています。

動物の姿から自分の生き方を学ばされる気がします。
プライベートな話題になりますが、現在彩さんを囲む家族である動物たちについて教えてください。

あの子達のおかげで、私は心穏やかに生きていられて、本当に大げさではなく幸せに満ちています。
芸能界において大きなバックボーンも何もないまま自力で独立して、これまで色々ありましたがでも折れることなくやっぱり今まで踏ん張ってこれたのは何でしょう…、愛護活動においても芸能活動においても、それは動物たちの力なんですよね。
動物たちの無償の愛の力は本当に絶大ですよね。

今現在は、犬さん3匹と猫さんもご自宅ですか。

猫9匹、犬が3匹が自宅で暮らしています。被災地や行政の施設からの子もいますし、あとはたまたま縁あって出会った捨て猫や、野良猫だった子もいます。
犬と猫がね、家の中で仲良く共生しているんです。猫と犬がぺたーってくっついていて、猫が犬にすりすりしたり、また犬が猫に耳の穴をなめられてじっとしているその光景を見た時のほほえましさ!
私偉いなーと思います。人間は世界中で自分の利益のために戦争を起こしていつもいがみあってるのに、犬と猫ってこうして種類が違ってもこんな風に一緒に共生できるなんて、人間よりはるかに偉いと思います。
無駄な戦いをしないじゃないですか。無駄なセッションも無駄な戦いもしない、その動物たちの姿から感じるものって、ほっとするしその姿から自分がどう生きるべきか、なんかこう学ばされますね。

特に障害を持っている動物には学ばされます。脳に障がいを持っていて四肢の麻痺で歩けないエイズキャリアの猫がうちにいたのですが、小脳に障がいがあるのでずっと頭も揺れていて、ご飯を食べる時も大変でした。
ですがその姿がものすごく見ていて力強いんですよね。とにかくどれだけ不自由でも文句一つ言わない。ひたすら前向きですし、そういうのを見ていると、自分の悩みとか今自分がぶち当たっている壁なんて非常にちっぽけなものだったりして。人間は自分のことは自分で何とか解決できますが、動物は人間が手を差し伸べないとどうすることも出来ません。ですが文句一つ言わずその状況を受け入れる、その姿やたくましさやけなげさって、見ていて非常に色々なことを教えられます。美しいし素晴らしいと思います。
最後に一般の飼い主さんやこれから動物と暮らしたいと思ってる方へメッセージをお願いします。

とにかく動物を迎える時は、民間でも行政の施設でも個人で活動されている方からでもいいので、とにかく高いお金を出して購入するのではなく、ご自身のその生活の中から縁を感じた子をぜひ引き取っていただきたいというのが一番ですね。
それとよく成犬・成猫になっていたらもう懐かないとか、しつけするのは大変なのではとそういう潜入感をお持ちで、やはり子犬・子猫からとおっしゃる方も多いと思います。
でも実際飼養の経験がない方にとっては、本当は成犬・成猫のほうが育てやすいのは確かですし、あと性格も子猫や子犬よりも判断が付きやすい。
自分との相性を確かめる上でも、成犬・成猫のほうが比較的判断しやすいです。ですのでうちにいる子たちは、みんな成犬・成猫になってから迎えいれた子たちで、中にはすでに老犬だった子もいます。昔からずっと一緒にいたみたいにすごく懐いてくれますし、心を開いてくれます。
特に被災地や行政の施設から来た子は、もともと傷つき大きなトラウマを抱えていて、人間を信用できないという、ゼロどころかマイナスからのスタートにも関わらず、絶大なる信頼を私においてくれます。本当に向き合い方かた一つで、色々な状態に置かれていた犬や猫でも、必ず心を通わせられることを知って欲しいと思います。

プロフィール

杉本彩さん

杉本彩さん [ 一般財団法人動物環境・福祉協会Eva 理事長 ]
一般財団法人動物環境・福祉協会Eva
Every animal on Earth has a right to live Eva=命、命あるもの(ラテン語)という意味
動物の環境と福祉の整備を図るとともに、広く国民に対する動物愛護精神の啓発に関する事業を行うことにより、人々が動物の生命の尊厳を守り、人と動物が共生することのできる思いやりのある社会の実現に寄与することを目的とします。

1968年、京都府生まれ。
1987年、東レ水着キャンペーンガールでデビュー。その後番組でアルゼンチンタンゴと出会い、芸能人社交ダンス部メンバーとして多くの大会に出場、入賞を果たす。
女優、作家、ダンサーとして幅広く活躍中。

一般財団法人動物環境・福祉協会Eva
http://www.eva.or.jp/
杉本彩オフィシャルブログ
http://ameblo.jp/sugimoto-aya/